この前の金曜日、
『ロダンとカリエール展』を見に国立西洋美術館へ行ってきました。
主たる目的はカリエール。『プーシキン美術館展』(12/12のブログ参照)以来、好きな画家の仲間入りをしていましたので、そう長い時間を待たずしてカリエールの作品にお目にかかれる機会を得たことはありがたいことです。
「肖像制作者としてのロダンとカリエール」という展示室で二人の作品を見比べる以外は、ほとんどカリエールの絵画しか見ていなかったので、主催者側の意図する鑑賞法からは外れているのでしょうが、気にしない気にしない!色彩的には華やかさのない地味な展覧会でありましたが、平日昼間のガラガラ状態の中でゆっくり鑑賞でき、なかなか楽しませていただきました。(土日でもたぶんそんなに混雑する展覧会とは思えないですが…。)
題材はオール人物。中でも母子愛をテーマにしたものが多く、人物が背景に溶け込みそうなほどの柔らかで朦朧とした画風は、『プーシキン美術館展』で得た印象と同じで期待通り。カリエールの作品は、原色系の明るい色を使うわけでもないし、見るからに幸福感に満ち溢れた絵とはいえないのに、何かホッとして心休まる思いがします。何より今回良かったのは、大作を見ることが出来たことです。小品は良くても大作になると途端に画面が緩んでしまい、ただ単に画寸を大きくしました的な作品になってしまう…カリエールがそんな画家ではないということがわかり、「やっぱりこの画家は好きだ!」と確信した次第であります。
図録を読んでいると、今回はカリエールの回顧展ではなく、同時代を生き、お互い影響を与え合ったロダンとの並列というコンセプトがあったため、人物画に絞ったものになっているそうですが、カリエール自身は風景画も描いていたそうで、今度はぜひそちらも見てみたいものです。